しるべブログ
しるべブログ vol.62
【良い料理人になるコツ】
良い料理人になる条件、
というのを聞いたことがあります。
それは、子供のころから
美味しいものを食べて育つことだそうです。
結局、美味しいものをたくさん知っているかどうか、
これが良い料理人になるコツなのだそうです。
私が20才のころ、
レコディングエンジニアとして
師匠である菅野沖彦先生とお会いしたとき、
先生に質問されました。
「お前は楽器を演奏するか?」
「それはどのくらいの腕か?」
さいわい私は、
幼いころから母親に
ピアノを習い、
その後はクラリネットを学んでいました。
一時は音楽大学を目指していたこともあります。
ですので、
その時の先生の質問には、
胸を張って答える事が出来ました。
しかし、その質問の意味することろは、
判りませんでした。
後で知ったことですが、
菅野先生ご自信も、
ピアノの腕はかなりなものだったそうです。
技術的に「良い音」を録音する方は、
ほかにも多くいらっしゃいます。
しかし、
先生の録音の凄いことろは、
その日の演奏者の気持ちや、
その瞬間の演奏者の乗りまでも、
聞こえてくるかのような音だったことです。
だから、演奏者の気持ちを想像出来ることが、
自分の録音した音のクオリティの、
基準になるということだったのだと思います。
料理も録音も同じことなのだなぁ、
と思いました。
本物の肌感を知っていると、
自分の作品がどの程度のものかが、
良く判るということでしょうか。
私はその後も、
アマチュア・オーケストラでの演奏を、
長く続けていましたので、
大抵の演奏現場で、
演奏者が「苦労している」とか、
「乗って演奏出来ている」
という感触は感じることが出来ていたと思います。
そこで、自分が録音した音を聴きながら
「こんな音じゃ演奏家に失礼だ」とか
「先生が聴いたら怒るに違いない」
とか、いつも思っていました。
今では、セカンドキャリアとして、
起業・副業コンサルタントとして活動していますが、
同じことを感じています。
良い先生にめぐりあって、
その先生のやることを注意深く見る。
そして、自分の仕事をそれに近づける。
いつもそれを目指しています。
いつまでたっても出来ないんですけどね。
死ぬまで勉強です。